インドめし【番外編】 ~赤いトマトと緑のオクラ 


“Okra”はアフリカ原産で、温帯に沿って世界各地に広まったが、その単純な名前のせいかどこでも“オクラ”と呼ばれている。俺が以前そうであったように、“オクラ”が自国語と思っている人は世界中にたくさん居るような気がする。そんなオクラさんに、俺は色んな国で世話になっている。


オクラには、妙~な魅力がある。ここインドでは週末になると「さて、市場にオクラ買いに行かなくちゃ」と思う。何故か?ネバネバしているからか?正直よく分からない。

考えてみると、海外にはネバネバ系の食材が少ない気がする。納豆・山芋・とろろ昆布やワカメなど、ネバヌル系のものは確かに食べたことがない。ハチミツとかチーズとか、トローっとはしてるけどネバネバはしてない気がする。う~む・・


オクラどころか、世界を闊歩している野菜にトマトがある。

料理し始めた学生の頃から、トマトは料理に使うものとは思っていなかった。サラダにしか使えない疎遠なものだった。なんとなく“外来種”という気配の、もろにデルモンテな、ベティーちゃんな感じであった。間違ってもお付き合いしたい気はしなかった。

ところが、海外に長く居て、栄養管理は自分で、などと思うようになると自然にトマトに手が伸びる。「トマトが赤くなると医者が青くなる」などと言われると更に伸びる。伸びなかったとしても、色々な料理にトマトが使われていることに気付く。

これで15円ですよ、アラヤダ奥さんどうしましょ?

日本では何となく“ぴちぴち生野菜”派の艶やかなトマト嬢が、世界の料理の中では下町オバさん派の煮込んでナンボ、という庶民的態度にドッタリ早変わりしている。そう、トマトは圧倒的に被加熱食材としての地位に君臨している。

という訳で、トマトとオクラを煮てコンソメスープを作ってみた。お茶漬けにも合うクミンごはんにぶっかけて食ってみる。ここんとこ複雑な味のインドめしが続いたから、この素朴な味が体に染み込んでゆくようであった。


トマトの赤やオクラの緑は、今日もホテルのシンプルな朝食に華を添えてくれる。



今のホテルは朝食を部屋で取るので、好き勝手やってます!